2013年版『米ロボット開発のロードマップ』

やや前の話になるが、さる3月20日、アメリカのロボット研究界と産業界の代表者たちがロボット研究、産業の現状と今後15年を見通したロードマップを作成し、連邦議会のロボット推進議員連盟に対してブリーフィングを行っている。

その報告書『2013年度版 米ロボットのロードマップ: インターネットからロボティックスへ(A Roadmap for U.S. Robotics:  From Internet to Robotics)』は、ここからダウンロードできる。

Robot roadmap

このロードマップは2009年に最初に作成され、今回はそれに改訂を加えたもの。アメリカのロボット開発が世界最先端の地位を保ち続け、国内の経済発展に貢献するよう持続的なイノベーションのパイプラインを構築し、国家のリソースを有効に配置することを目的とした提言書という性質のものだ。

オバマ大統領による国家ロボット・イニシャティブ(NRI)の設立は、2009年版のロードマップ提出に端を発している。今回のロードマップの作成には、NRIの補助金を受けて活動する産学組織ロボティックスVO(ロボティックス・バーチャルオーガニゼーション)があたった。

内容は、製造、健康・医療、サービス、宇宙開発、軍事の5分野に分かれている。まだ細かく目を通していないが、要約とされたページに興味深い記述がいくつかある。

・ロボット技術は、次の10年間にコンピュータ技術と同様にユビキタスになると予測され、国の未来を変える。

・フレキシブルな製造にロボットを活用することで、低賃金な他国へのアウトソーシングにも競合する生産システムを確立することは可能。

・ロボット技術は、短期的には雇用促進と生産性向上、工場での安全性向上に貢献する。国内での雇用を加速化させ、長期的には高齢化社会における生活の質を高める。

もっとも関心を引かれたのは、「各分野で5、10、15年の短期、長期におけるロボット技術の応用をとらえ、そこで求められる重要な機能性、そしてそうした機能性を可能にするために必要とされるテクノロジーを洗い出した」という部分。

現状から将来までのロードマップを俯瞰して、随所で必要な機能技術をピンポイントするとは、明快な合言葉を掲げるようなもの。これに刺激されて、多くのスタートアップも生まれてくることだろう。

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