エボラ撲滅にロボットは使えるか?
アメリカにも上陸したエボラ。西アフリカでは、今なお広がるばかりだ。こうした伝染病をロボットでくい止められないのか。
それを話し合うために、ホワイトハウス内の科学およびテクノロジー政策室が、3大学を結んで連続ワークショップを行うという。『コンピュータ・ワールド』誌が伝えている。
ワークショップの初回は11月7日で、マサチューセッツ州のワーセスター工科大学(WPI)、テキサスA&M大学、そしてカリフォルニア大学バークレー校が共催し、研究者、医療救援関係者、ロボット業界関係者なども参加するネット会議になる模様だ。
この『エボラ救援者のための安全ロボット(Safety Robotics for Ebola Workers)』ワークショップを呼びかけたのは、テキサスA&M大学のロボットによる探索と救助活動センター(CRASAR)。所長のロビン・マーフィー教授は、ロボット関係者が実際に救援にあたっている人々から実態の説明を受けることで、ウィルスの伝染をくい止め、救援者を安全に保つために何ができるかを考えて欲しいと語っている。
同教授がリストアップしたロボット導入の可能性は以下:
・エボラ犠牲者の死体を扱うロボット(エボラ・ウィルスは死亡時および死亡直後の伝染度が高い)
・現地のラボや病院で働く医療関係者の数を減らせるロボット(自動検体処理、遠隔医療など)
・ウィルス検知ロボット
・殺菌活動ロボット
・遠隔診断や救援者訓練を行えるテレプレゼンス・ロボット
・救援関係者の安全を守る警備ロボット(食糧盗難などを防ぐ)
・廃棄物処理ロボット
・人道救援活動ロボット(食糧や飲料、薬品などを運搬する自走車やドローン)
・偵察ロボット
ただし、ロボット関係者からは、すぐにそんなロボットが出動できるというイメージを一般に与えてしまうのは避けるべき、という意見も出ている。福島原発事故のケースと同様、すぐに目的にぴたりと合った動きができるロボットは皆無だからだ。
それよりも、短期的に既存のロボットをどう改造すればこうした目的を達せられるか、また長期的に見てどんなロボットを開発すべきか、という点を話し合いの課題とする必要があるという。
それにしても、世界の災害や災難はひとつひとつが異なっている。万能ロボットは望めないにしても、もっとロボットが出動できる時が待たれるばかりだ。
他にも関連記事は、『ニューヨークタイムズ』、『IEEEスペクトラム』にも掲載されている。