DARPAロボティクス・チャレンジ第2日。来年の決勝戦へ進む8チームが決定
DARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)は、2日目もハードなスケジュールが終日続いた。17チームのうち、参加できなかった中国チーム、インテリジェント・パイオニアと、ロボットの調子が悪いカイロス・オートノミーを除いた15チームが、残りのタスクを30分ごとにこなしていった。
DRCの雰囲気は、少しプロゴルフ・トーナメントに似たところがある。観客はロボットが微動するのを静かに待ち、タスクを1段階ずつクリアーすると歓声が上がるのだ。ゴルフも静けさと歓声が交互にやってくる。今日もタスクを完遂したブースでは、大きな拍手と歓声が上がっていた。
その歓声が最も大きかったのは、日本のチーム、シャフトである。昨日の時点で第1位にランキングされたこと、そして他のロボットに比較して圧倒的に巧みにタスクをこなしていくことが明らかになるにつれ、観客が集中するようになった。シャフトのロボットS-Oneは動きが早く、音も静かなので、人々の注目を得る求心的なパワーを持っていたようだ。
さて、各チームの得点結果は上位から以下である。。シャフトは予想通り1位に留まったが、2位以下は昨日からけっこう順番が入れ替わっている。2日目の結果、昨日は2位に付けていたMITが4位になり、下位でしかなかったタータン・レスキューのチンプやロボシミアンが上位に上昇した。
上位8つのチーム、すなわち、シャフト、IHMCロボティクス社、タータン・レスキュー、MIT、ロボシミアン、トラックラボ、WRECS、トゥルーパーが決戦に進出する。
2位のIHMCロボティクス社は、DARPAバーチャル・ロボティクス・チャレンジ(VRC)で1位を獲得したチーム。ソフトウェアで勝ったチームが、それをハードウェアにもうまく統合できたということだ。
同チームのメンバーに聞いたところでは、アトラスが来てからは、かなりのチューニング作業を行ったという。だが、同社にはアカデミックで科学者的なアプローチと共に、ソフトウェア・エンジニアたちの実践的な開発文化があり、それが利点になったのではないかと言っていた。どこまでやれば失敗が起こるといったことが、うまく把握できているという。また、8つのタスクのうち集中するものをあらかじめ決め、「車を運転する」とか「障害物を取り除く」のタスクは、準備時間が決定的に足りないと見極め、最初から多くの作業は振り分けなかったらしい。
また、各タスクでの最優秀賞もあり、その結果は以下である。
・「車を運転する」:WRECS
・「デコボコの地面を歩く」「はしごを上る」「がれきを取り去る」「ホースを取り付ける」:シャフト
・「ドアを開く」「壁に穴をあける」:IMHCロボティクス
・「バルブを回す」:トア
DARPAのプログラム・マネージャーのギル・プラット氏は、タスクの中で最も難しいのは「車を運転する」と「ホースを取り付ける」で、簡単なのは「バルブを回す」だったと言う。
上位8チームは、DARPAから補助金を受けるためにこれからアメリカ政府との交渉に入る。この状態は、政府用語ではまだ「決勝戦に進む」と決定的な表現はできないそうで、正式になるのは交渉が成立して契約を結んでから。補助金は合計800万ドルで、8チームに等分される。
2014年に開かれる決勝戦(ファイナル)については、いくつかの点も明らかになった。
まず、参加チームは今回選ばれた8チームに限らないこと。さらに参加を募り、自己資金で挑戦を希望し、クオリフィケーションの基準に合格するチームならば、決勝戦に参加ができる。ひょっとすると、今回上位8位に残らなかったチームが再起を目指すこともあるかもしれない。
DARPAは予選においても、参加者の募集に際して複数のトラックと複数の段階を設けていたが、それは実力あるチームが残されないように万全の手を打つためだったという。
また、タスクについては、今回は個別に特定されたタスクだったが、決勝戦ではより包括的なものとなりそうだ。時間的な制限も厳しくなる。その中で、次々とタスクを連続的にこなしていくような構想を計画しているようだ。ロボットもテザーなしのよりロボスト(強靭)なものを求めるとのこと。
「DARPAは常に経験から学んで、次の手を変えてきた。今回のチームがやったすごいことを学習して、テクノロジーをさらに発展させるのに役立てる」とプラット氏は言う。
DARPAでは、これからDRC予選の徹底的な分析が行われるのだろう。
(DRCの番外編まとめは、追って数日後にお伝えします。)