ボストン・ダイナミクス社、売却へ?

先だって、新型アトラスのすごいビデオを公開したばかりのボストン・ダイナミクス社が、売却される予定という。『ブルームバーグ・ニュース』が伝えている

これだけのロボットは、一体どこへ行く? (http://www.bostondynamics.com/より)

このすごいロボットたちは、一体どこへ? (http://www.bostondynamics.com/より)

ボストン・ダイナミクス社は、日本のシャフト社などと共にアルファベット(旧グーグル)の傘下にあるロボット会社のひとつ。2013年に買収されるまでは、軍事関連の補助金で数々のロボットを開発してきた。ビッグ・ドッグ、アトラスと、同社のロボットは一般にも有名だ。

だが、ブルームバーグ・ニュースによると、今回の売却話は今後数年内に市場で売れるような製品化が同社からは見込めないことが理由だという。

旧グーグル時代に買収を指揮したアンディ・ルービンが辞めてから、数々のロボット会社は「レプリカント」というコード名で方向性を探っていたようだ。ロボット会社買収でグーグルに加わったエンジニアは約300人。買収された企業間でのコラボレーションを探ったりもしたが、リーダーシップ・レベルの人材が辞めたり、共同開発が失敗したりと、ここまでの道のりはスムーズではなかったようだ。つい最近も、ロボット部門再編成の噂が聞こえてきたばかりだった。

こうした中で、ブルームバーグ・ニュースはグーグルの内部資料を入手していた。これはレプリカント・グループ内のフォーラムでのやりとりが他のグーグル社内に漏れたもので、ボストン・ダイナミクス社の重役が残りのグループとうまくいかないことを示していた。

このやりとりが行われたのは昨年11月。その中でローコストの電動4足ロボットを開発しようという動きが、ボストン・ダイナミクス社からの抵抗にあったという発言が記録されている。これに対して、ボストン・ダイナミクス社の創業者であるマーク・レイバートは、「製品化へつながる道は、われわれがボストンでやっている仕事を続ける以外にない。それほど、他からかけ離れたことをやっているわけではない」と反論したことも同じく記録に収められている。

レプリカント・グループは、昨年12月に先端研究を行うグーグルXに吸収された。グーグルXトップのアストロ・テラーは、グーグルが取り上げる問題にロボット面で現実的な解決法を提供できなければ、グループには別の仕事が与えられると述べたという。

しかし、ボストン・ダイナミクス社はこの時にグーグルXには一緒に吸収されず、結果的に今回の売却計画につながったようだ。

また、話題になった新型アトラスのビデオについては、人間の仕事が奪われるという「否定的な見方もある」という理由で、グーグルXの広報トップは「このビデオから距離を保つように」と部下に告げていたという。

記事のテキストにはないが、記者のビデオ解説によると売却額は研究・開発部門であるためそれほど高額ではなく、「6000万ドル程度」ではないかという。売却先候補として、シリコンバレーに人工知能とロボットの研究所(TRI)を持つトヨタやアマゾンを挙げている。もちろん、軍事関連企業も対象として含まれるだろう。

また記者は、この動きはアルファベットがロボットから「大きく後退している」ことを示すと述べている。

ただ、ロボニュースはアルファベットのロボット・グループが、かなり具体的な数部門に分けられて焦点をクリアーにしたらしいとも最近耳にした。ロボットの製品化は難しいが、頑張ってグーグル・ロボットを世に出して欲しいと思うのだ。

 

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