ペッパー、いよいよアメリカ・デビュー。前評判は?
ペッパーの本格的アメリカ・デビューが近づいているらしい。
日本での一般販売から遅れること約1年。ペッパーの正式デビューは、シリコンバレーの中心地、パロアルトにあるIoT専門ショップB8taのようだ。同社のフェイスブック・ページにその告知がある。
ただし、ペッパーがここに滞在するのはたった1週間。販売というよりはお披露目に近いものと思われ、その1週間の間に同店でディベロッパー向けの集まりも開かれるようだ。まだ空席がある模様。
地元NPOのシリコンバレー・ロボティクスも、米ソフトバンク・ロボティクスのオフィスでディベロッパー・ナイトを開く予定。こちらはすでに予約が満席。いずれにしても、こうしてディベロッパーらに少しずつ自己紹介していくということなのだろう。
これまでもペッパーは限られた場所で姿を見せていた。2015年のDARPAロボティクス・チャレンジ(DRC)決勝戦会場や、今春のロボット・ブロックパーティーでも訪問者に囲まれているのを見かけた。
アメリカでは今年後半から、ジーボやバディーを含めたいろいろなファミリー・ロボット、ソーシャル・ロボットの出荷が始まる予定だが、どれもペッパーほどにヒューマノイド的ではない。それだけに、実際ペッパーはどんなロボットなのかという関心は高まっている。
ディベロッパー向けには、今年5月のグーグル開発者会議I/Oで壇上デビューを果たしている。アンドロイド・ツールでペッパーの開発が可能になったことをソフトバンクは盛んにアピールして、ディベロッパーの関心を集めようとしている。ディベロッパー・モデルもそろそろリリースだろうか。
アメリカのメディアで強調されているのは、ペッパーは「感情を持つ」であるという部分。「相手の感情を読んで、それに応じた対応をする」と『cnet』は書いている。
しかし、「ロボットと感情を分かち合うのは想像しにくい。落ち込んだ時に、ロボットと隠れん坊ごっこをしても気分を持ち直すとは思えない」と、プロモーション・ビデオの感想を述べているのは『テック・インサイダー』だ。このあたりは、ロボットに感情移入しやすい日本人とのスタンスの違いがよく出ている。
同記事によると、ペッパーはアメリカでは家庭よりもビジネスでの展開をまず対象としている。また、IoTのインターフェイスになることも売りだ。一般への販売は今年末になると、記事は伝えている。
「日本やアジアでは店頭で仕事をしているのに、アメリカではまだ職にありつけていない」と書いているのはテッククランチ。B8taでのデビューもパートタイマー的と指摘。
確かにアジアでは勢いがついているようだ。そのひとつが、マスターカードによるアジアのピザハットでの導入。注文と支払いの仕事をペッパーにやってもらおうと、試験的にペッパーを採用している。
それが発表された今年5月、イギリスの新聞紙『デイリー・メール』がニューヨークでペッパーにインタビューを行っている。
英語でハキハキと話し、「ロボットの三原則」まで教えてくれるペッパーの様子がわかる。だが、「世界を征服するの?」とか「僕の仕事を奪っちゃうの?」という記者の質問にはダンマリを決め込んでいる。
『ザ・バージ』は、日本国外での一般販売はまず台湾から始まったことを伝えている。同記事によると、台湾での販売を担っているのはフォックスコン傘下のペロボット社(沛博科技)。3年間契約で16000ドルと、日本と同程度の料金だという。これは、一部を除いてアメリカ人にはかなり高く思われるはずだ。アメリカで発表されているファミリー・ロボットは年間契約などが不要で、価格がだいたい500〜600ドルの範囲だからだ。
アジアやでは、ビジネスのいろいろな現場にペッパーがいるようで、その様子もアメリカで伝えられている。面白いのは、台湾南部屏東県で地方自治体に導入されるというケース。4台も導入され、県庁で案内係をしたり、地元の学校へ出かけていったりする予定らしい。
ヨーロッパでは、クルーズにも乗船しているようだ。
アメリカでは、ビジネスも一般向けもこれから本格的な展開が始まる。さて、どんな面白いケースや開発が出てくるか。